タイへ行った

タイへ行きましたぜ
□一週間の短い夏休みを利用して、タイに行ってきました。タイを悪く言う人にあったことがないのでどんなかしらんと思って。遺跡、食べ物、ムエタイと魅力的なものがたくさんあるし。
□エアインディアの土曜日に出発して、翌土曜日に戻ってくる56K円のチケット。成田->バンコク->ピサヌローク->スコータイ->ピサヌローク->アユタヤ->バンコク->成田という経路で、一週間にしてはちと無理目に詰め込んでます。

1日目 フロッガー!!
□夕方バンコク(ドンムアン空港)について、乗り継ぎの国内線がでるまで3時間くらいあったのでちょっと町にでてみた。が、道路を渡れない!!車がいつまでも途切れずにすごい勢いで走ってくる!!信号、横断歩道、歩道橋その他なんもなし!!ふと横を見ると野良犬の足が片方ない!!がーん。しばらく待って地元の人が道を渡るのを見てたら、まさにフロッガー!!タイの第一印象は「人間フロッガーの国」でした。
□その後、ピサヌロークという、バンコクより電車なら6時間ぐらいのところにあるタイ中央付近の地方都市へ行った。ここは遺跡のあるスコータイへバスで1時間ぐらいのところにある街である。よくわからないまま白タク(今にして思えば)に乗って空港から市外へ行き(当然ぼられたようだがまだ物価がよくわかってない)、地球の歩き方でめぼしをつけておいた宿へ行きました。この宿は300バーツで冷房、温水シャワー、水洗便所、テレビつきというすごいところで、この旅行で一番いいゲストハウスでした。Lithai GuestHouseといい、この街にきたらここに泊まるしかない、といえるレベルだと思う。ちょっとほっとして、シンハービールを飲んで寝る。

2日目 歩きすぎた。
□午前中はピサヌロの街を散歩。土の色をした川にボートハウスがあり、おんなじような色の錆びの浮いたトタン屋根が続いていると思えば、その対岸は小奇麗な公園が作られてたり、ちぐはぐな街。タイで一番美しいと謂われているらしい仏像がある寺院にいく。全然たいした事がないので、この先が不安になる。飯食って、スコータイへ行くためにバスターミナルへと歩く。市外から3kmぐらい離れた辺鄙な場所にあって、日干しになりかける。路線バスに乗ろうと思ったけど、系統が多すぎて難しいのだ。
□エアコンなしのぼろバスに1時間くらい乗ってスコータイへ。スコータイ市外から遺跡のある旧市街へは14km離れているので、ソンテウというトラックの荷台を改造した乗合バスに乗ってゆく。トゥクトゥクという三輪自動車(バイク?)のような乗り物もあるが、料金は交渉で相場はかなり高い。ここでも、どこでも運転手が声をかけまくってくるので結構うざい。ソンテウは5バーツ(15円)。安いし、地元の人も乗ってて楽しい。
□スコータイでは、遺跡の目の前のゲストハウス(500バーツ冷房つき)にチェックイン。夜や明け方の遺跡がよいらしいのでそれを見ようと思う。とりあえず、自転車を借りて(20バーツ/日)まず高台にある遺跡にいってみる。あまり見晴らしはよくない。タイは平らな国であることを認識する。そのままチャリで遺跡を駆け巡ってたら頭痛がしてきた。昼飯ちょっと食べただけで炎天下一日中歩いたりチャリこいだりしてたので熱中症か何かになりかけたらしい。ペプシで栄養を補給し、水辺の遺跡でしばしひっくり返る。これからはもっとゆっくり行こう。
□肝心の遺跡は大変きれいで、遺跡というより公園である。実際Historical Parkって書いてあるんだけど。遺跡というのは、昔すごかった文明が今はこんなになってしまって儚いなあとか、当時の面影を偲んだりするところに興があるのに、こうなっていると野趣が感じられなくて、残念。でも、仏像はみんないい顔をしているし、十分楽しめた。
□その晩は、バーミーナム(汁そば)を食べた。全然期待しないでその辺の小さな食堂で食べたのに、思わず拍手16連射しそうになったほど美味かった。こういうとき、一人だと感動を伝えられなくて残念だ。

3日目 カヘル
□予定ではその晩の夜行電車でアユタヤへ行くつもりだったけど、前日の教訓を生かして半日遅らすことにした。で、午前中はスコータイの遺跡の残りを見てまわったり、ごろごろしたりした。プミポン国王の像がさりげなく置いてあったりしていかす。
□昼にアイスコーヒーを飲んだ。あまーい。マックスコーヒーで育った俺はこういうコーヒー(つうか、乳飲料)を求めていたんだと思う。美味い。南国はいるだけで体力消費するから、糖分で栄養補給するんでしょう。
□また、ピサヌロにもどり、またLithaiチェックイン。ナイトバザールへ行く。ここの名物は空飛ぶ野菜炒め(鍋から投げて皿で受け取るらしい)なんだけど、生憎土砂降りになってしまい見れなかった。屋台に閉じ込められてしまったので、適当に食う。美味い、美味い。調子に乗って店員に勧められたカエルまで食った。よく聞くとおり鶏肉を淡白にしたような味だけど、皮とか、爪とかが具体的で気味悪く、さすがに肉しか食えなかった。宿への帰りに美味そうなカレーを売ってる店があったので、ふらふらまた入る。うめーっす。グリーンカレー。ああ、食い倒れ。この日は食ってばかりいた。太田胃散も飲んでおく。

4日目 移動日
□朝から電車で南下。駅に兵隊と坊さんがいる。「ビルマの竪琴」を思い出す。ビルマじゃないけど。電車は6時間ぐらいかかったが、冷房車だったので快適。途中、行商みたいなおばちゃんが食い物を売りにくる。器用にビニール袋に小分けしてある。
□アユタヤに着いて、またグリーンカレーを食う。美味いなあ。
□アユタヤは、ちょうどいい宿がないので難儀した。タイの泊まるところは大まかに3種類に分けられる(と思う)。とても安いところ(Guesthouse、旅社。ドミトリーで水シャワー・トイレ共同)、高いところ(ホテル。シャングリラとか、オリエンタルまで上限なし)、その中間(高めのGuesthouse、中級ホテル。冷房あり、シャワー・トイレあり)である。高いところは、世界的な値段とサービスで、日本とあまり変わらない。安いところはほんとに安い。300円とか。月単位で滞在する貧乏旅行者にはベストでしょう。安いだけだけど。そして、その中間層は、もっともコストパフォーマンスがいいと思う。これ以上高くなっても革新的な設備が加わるわけでもないし。今回のポリシーとして、このクラスの宿に泊まることに決めていた。でも、アユタヤにはその中間層だけ全然ない。おそらく有名な観光名所なので、高いところに泊まるツアー客と、長期間居着く旅行者の宿に分化してしまったのでしょう。結局また遺跡の目の前にあるGuesthouseに泊まることにしたが、冷房があるだけで全然だめだ。地元の人がラブホ代わりにしてそうな感じ。早く移動したい。
□宿探してたら夕方になってしまったので、手前の二つの遺跡だけ見る。スコータイより個々の遺跡の規模はやや大きい。アユタヤの仏像は、ビルマ兵が全部首をもいでしまったそうで、修復されたものを除いて首がない。気味が悪い。首のない仏像が、ではなくて、残らず首をもいでしまったビルマ兵の執念がである。

5日目 合流
□この日は欧州帰りのトベさんと合流することになっていた。待ち合わせ場所のアユタヤホテルの前で、タイ人を軽くあしらっている姿はもはや貫禄すら感じさせる。春にも長いこと東南アジアに旅行していて、その中でもアユタヤが好かったんだそうである。またチャリに乗って案内して貰う。傾いたいい加減な塔やら、その辺の遺跡やらをまわる。タイは春が暑期で、一年で一番暑い。今は雨季なので湿度は高いが、さほど(32、3度ぐらい?)暑くはないので驚いているようだ。飯はきしめんのようなビーフンの料理。これも汁ありとなしがあるらしい。もちっぽい。
□夕方頃にはアユタヤのすべてを見尽くしたような気になってたことと、泊まるいいところがないのでバンコクへ移動することにした。普通電車だったので、2時間ぐらい揺られる。バンコクのホアランポーン駅に着くとちょうど6時で、王室関係の音楽が流れて全員が直立して謹聴する、というイベントにでくわす。スガヌマに教えてもらったホワイトロッジというゲストハウスへ歩いてゆくが迷う。
□そのゲストハウスの近辺はバンコク一の繁華街で、渋谷のような場所である。でも、9時過ぎると店がほとんどしまってしまう。仕方がないのでまたシンハー買ってきて宿で飲む。

6日目 ようやくバンコク
□午前中は近くのマーブンクローンというショッピングセンターを冷やかしたり、スカイレール(だっけ)を終点まで乗って街を見下ろしたりして過ごす。正午にトベさんと駅で待ち合わせていたので1時間ぐらい前に出発するが、何と反対方向へ行くバスに乗ってしまう。バンコクのバスは200系統とかあって、さらに同じ番号でもエアコンバスとそうでないバスで路線が違ったり、ややこしいことこの上ない。空港まで行ってしまうところだった。気がついて降りたところも巨大なバスターミナルで、どれに乗っていいのやら皆目見当がつかない。絶望的な気分になる。結局自分で探すことをあきらめて、その辺の人に聞いたが、それでも1時間以上遅刻する。
□が、向こうも渋滞とかで1時間ほど遅れたらしく、1時半頃に合流。よかった。何でも昨日は知り合いのタイ人と3時まで飲んでたそうな。
□バンコクでの目的の一つである、古式マッサージを受けるべくワット・ポーへ行く。30分で120バーツ。さすがに結構混んでいて、ヨガ行者の像なんかを見て暇をつぶす。マッサージはあまり痛くなくて気持ちいいが、まあこんなものかと思う。でも、値段を考えると恐ろしくリーズナブルだ。
□腹も減ったので飯を食いに行く。ちょっと値のはるタイ料理を食べてみようと思い、船とスカイレールを乗り継いで歩き方に載っていた店に行く。船のおっちゃんはいきなり300バーツだとふっかけてきたが、思わず声をそろえて「300バーツゥ?」というと笑っていた。結局正規料金(8バーツ)すら払わず乗ってしまう。タイ人は最初は愛想わるかったり、ぼろうとしたりするけど、こちらがちゃんと知ってて対応できることが分かると、いい奴の地が出てしまうことが多いようだ。
□飯は今回の旅行中最悪だった。日本並みの値段で、日本並みの味。ガイドブックに載ってる店はどうしてもこうなってしまうのだろうか。店を探すのに、長期滞在できないとどうしてもそういった本に頼らざるを得ないところがつらい。それでもタイは屋台とか普通の食堂の料理がとんでもなく美味いので救われるけど、それだけだと飽きるしなあ。
□トベさんと「また東京で」というかっこいいセリフで別れたあと、もうちょっと頑張って夜やってる店を探したら、ハードロックカフェがあったのでそこでまたシンハーを飲む。タイ人のオカマ(多いらしい)がいて面白かった。

7日目 最終日そしてムエタイ
□前日はなぜかワット・ポーだけで一日が終わってしまったので、気合を入れて残りのバンコク名所を巡る。
□ワット・アルン 三島由紀夫の小説になっている暁の寺。読んでこなかったのでなんともいえないが、そんなたいしたことないような。三島感動屋だしな。なぜか蛇の見世物があった。
□ワット・プラケオと王宮 金ぴかの王室専用のでかい寺と王室などの建物のコンプレックス。高い。200バーツ。しかもむちゃくちゃ混んでいる。駆け足で廻ってさっさと出る。ワット・ポー、ワット・アルン、ワット・プラケオというバンコク有名3寺院では、ワット・ポーが群を抜いてよかった。仏像が寝てたり座ってたりして怪しい、すいている、安い、マッサージまである、などなど。ここだけ行けばよかったのかも。
□カオサン通り 世界的に有名な安宿街。毛唐がうじゃうじゃいる。日本人も。みんな喫茶店で洋画をぼけーっと見ながらサンドイッチを食っている。何しに来てるんだろう、ヨーロッパにたくさんいる日本人観光客もこんな風に見えるんだろうな、などと思い、げんなりする。通りではどこも同じ安っぽいみやげ物を売っている店が並んでいる。そして高い。ここは安宿のある仲見世なんだー、と妙に納得する。
□イセタンの上のスーパー おみやげにするようなものが何もないので、インスタントのトムヤムクンや、タイカレーのレトルトを買い込む。カオサンの民芸品はまがい物だけど、タイの料理がうまかったのは本当なのでこんなものを配ることにする。箱とか小奇麗だし。
□サイアムスクエア 日本の渋谷みたいな若者の街。みんな小奇麗なカッコをしているのでやや怯む。昨日のハードロックカフェもここにあるけど、夜だったので気がつかなかった。タイ料理屋に入って、昨日のリベンジを果たすべくトムヤムクンとソムタムを食う。パッタイとシンハーも。うまい。
□そして、最後にムエタイを見て帰国することにする。その日はルンピニだった。6時からで、前座2試合、メインまで4試合、メイン、おまけの国際ルールの試合が2試合と結構長い。最後まで見ると10時を越えるだろうか。席は1等席(1000バーツ!)、2等席(460バーツ)、3等席(250バーツくらい)がある。外国人は入り口前で売り子のねーちゃんに捕まってほとんどが1等席に座っているが、俺はちゃんと調べていたので2等席の一番前で金網にしがみついて観戦。この方がよく見えるのだ。2等、3等のタイ人はほぼ全員賭けている。1、2ラウンドは様子見で、選手もたらたらやっている。この間に賭ける。そして3ラウンドからが本気で、蹴りや膝が入るたびにみんなで「オゥイー、オゥイー」と叫ぶのだ。その日は金曜日だったからか満員で、異様な盛り上がりをみせていた。試合自体も熱く、ムエタイはほとんどK.O.がでないのに、メインの前の重量級の試合で、肘が思いっきり顔面に入り、担架が出動するという壮絶なK.O.シーンを目の前で見てることができ、感動に打ち震えた。
□とかいってたら時間がなくなって、メインの試合を見てすぐタクシーで飛行場へ急いだ。300バーツほどかかった(内高速料金70バーツ)。時間を気にしながら見るものではないので、次は最終日ではない日に見るようにしよう。

まとめ
□遺跡は世界遺産といいつつ単に歴史公園だったので、わざわざ見に行くほどのものではなかった。クメールの遺跡もタイ族の遺跡も区別がつかないので、アンコールワットだけ見れば十分だと思う。
□でも、食い物がどこでも(一部例外あり)異様に美味いこと、物価が安いこと(特に交通機関と宿)、ワット・ポーが思いがけず良かったこと、日本から近いこと(欧州などに比べて)、日本人が多いので情報が相当な量日本で手に入ること、などいいことだらけなので、ぜひまた行きたい。ムエタイもまた見たい。というか、帰国したらイノクマさんから年末にアジアへ行こうとのメールが来てたので、早速飛行機予約してしまった。ふふふ。アジアにしばらくはまりそうだ。
□それから、自分の味に関するボキャブラリーが「うまい」だけであることが分かった。

おしまい